2009年6月30日
シリーズ「この人」伊藤洋一さん・道立林産試験場製材乾燥科長
(いとう・よういち)1967年生まれの42歳。岐阜大学林学科卒。1993年道立林産試験場乾燥科採用。1998年に岐阜大学大学院より農学博士取得。2008年から製材乾燥科長。
道産カラ松の建築用無垢製材生産技術の開発に取り組む
最近、北海道ではカラ松林から出材される原木の径級が30センチを超える大径材が増えてきている。建築材としては集成材のラミナに使われるが、今後は無垢製材としての利用が期待される。
道立林産試験場は20年度から3カ年計画で「カラ松大径材による建築用材生産技術の検討」に取り組みはじめた。
製材乾燥科科長の伊藤さんは「昨年度は実際にカラ松大径材を使って試験挽きと人工乾燥を行ないました。36センチから52センチの丸太15本を使い、例えば52センチでは平角2本、正角2本、ラミナ7枚かとれ、最小径が40センチを超えるもの7本からはすべて芯去りの平角がとれました」という。
また、人工乾燥の技術も以前の130~140度の高温乾燥とは変わってきている。「平角材の例を挙げると、最初の16時間は乾球温度100度、湿球温度100度で蒸煮します。その後11時間乾球温度120度・湿球温度90度で乾燥し、19時間乾球温度110度で乾燥し、その後温度を下げていき最後の65時間は冷却します。合計約233時間、10日前後になります。こうした乾燥スケジュールでやりますと、割れ、ネジレなどのカラ松の欠点が抑えられます」とのこと。乾燥技術も相当に進歩していると感じた。
21年度は、大径材の選別基準の提案、大径材用木取り補助システムの開発に取り組む。21年度は高品質乾燥技術の検討を行い、品質向上と乾燥時間を短縮させる機能を付加させる。
また、今回の検討では、構造用製材について研究するが「需要があれば、割物についての検討も行ないたい」そうだ。
「やはり、まだ棟数が少ないので、ノウハウが蓄積されていません。今年は道民の森の木工芸館の建築に使いますが、今後は地場の工務店とも連携して、実際に住宅建築で使っていきます」と具体的プランもできつつある。
伊藤さんに今後の抱負を聞くと「私としては、今まであまり使われてこなかった無垢製材で建築用に使ってみたい。平角。正角で十分使えると思っています。実際に建築に使われているものを見て評価してほしい」と意欲的だ。
ちなみに、正角(10・5―3・65)のカラ松乾燥製材の販売価格は「5万円が目標」とのことである。大いに期待したい。
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