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2009年2月15日

シリーズ「この人」藤田香織さん・東大大学院准教授

藤田香織さん・東大大学院准教授
(ふじた・かおり)1970年東京生まれ。93年東京大学工学部建築学科卒、99年同大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。首都大学東京准教授を経て、07年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授。

伝統的木造建築の構造性能を探究

「歴史的なものから新しいものへと、既存木造建築の構造性能や補強方法の研究を主に、調査や実験に取り組んでいる」

東京大学大学院の工学系研究科(東京都文京区)で伝統的木造建築の構造特性、特に耐震性を対象に研究を行っている。「主要な研究目的は、現存する歴史的建造物の文化的な価値を継承しながら、その安全性を確保するために必要な工学的資料を蓄積すること、また幾多の自然災害に耐えた、わが国の歴史的建造物の構造特性を研究し、これに学び、今後の建築構造に何が反映できるかを考察すること、この2点だ。さらにここ数年は、研究テーマを時間的、すなわち狭義の歴史的建造物だけでなく既存建造物に、また地理的、すなわち日本だけでなくアジア太平洋地域までに拡張する方向で研究を進めている」

「建物が好き。高校時代には、理数系が得意で、モノに向き合っているほうがいいと思い建築学科への進学を志した」

幼少の頃をベトナムや中国で過ごし、米国はニューヨークの小学校に通った。社会の授業でギリシャのパルテノン宮殿の紙粘土模型をつくるイベントがあり、古代の建築様式や文化、宗教を勉強することができて、とても面白かった。

学部時代に、初めて欧州を旅行した。図面でしか見たことのないイタリアやスペインの建物に触れて感動したが、帰国後、日本の木造建築にはまったく違う美しさがあり、洗練されていると痛感。日本の古い木造建築の勉強をしていこうと決意した。

また、大学院生時代の1995年、阪神大震災があった。木造住宅が数多く倒壊し、甚大な人的被害の直接的な原因になるのを目の当たりにした。大きなショックを受けると同時に、耐震性や構造的な安全性に対する問題意識が高まった。

「開発途上国に安全かつ安価な住宅を供給する」

文科省が推進している、国際的に卓越した教育研究拠点形成のための施策である「グローバルCOEプログラム」では、「脆弱(ぜいじゃく)市街地の改善」の部会に所属。開発途上国などの脆弱な市街地、すなわちスラムにおいて、経済的な支援だけでなく技術的支援のあり方を、社会基盤・都市工学の専門家と一緒に研究活動を重ねている。

「今後は、歴史的な建物の性能評価に関する研究のほか、既存の木造住宅を安価で簡単に補強できるような構法や部材の開発を試みたい。それによって多様性のある、色々な時代の痕跡が共存するような街並みが実現するといい」