2009年1月30日
シリーズ「この人」中村幸弘さん・株式会社中村製材所社長
(なかむら・ゆきひろ)昭和43年(有)中村製材所(熊本県上益城郡甲佐町)設立、同54年社長に就任、平成5年新工場建設と同時に株式会社中村製材所に組織を法人化。なお、自営業のほか地元の上益城木材事業協同組合の専務理事として組合運営にも携わっている。
昭和22年9月5日生まれ、61歳。
林業は今が100年に1度のチャンス
「麻生総理が100年に1度の大不況と言った瞬間に、いや林業にとっては100年に1度のチャンスだと思った。50年、100年先を展望し、目標を持って今こそ林業基盤をつくるチャンスだ」と林業への熱い思いを語る。
中村さんは、国産材専門の製材所を経営しているが、小学校の低学年のころから、父親の先代社長政次郎さんに、常日頃植林の大切さを教えられ、中学1年生の時に自ら杉の挿し穂、林地の整備を行い植林した立木が、今では大樹と育ち、私の木材、製材業の証になっていると言う。
「100年に1度のこのチャンスが3年は続くと確信している。私は50年、100年先の林業基盤を築くための取組みをすでに始めているが、仕事がなく厳しいと言うお客さんに、自分の考え、取組みを話すと"植林して木を育てても50年、100年先は生きていないではないか"、と言われる。だが、18歳から木材業にたずさわった経験で、過去の森林相場からも、今が林業基盤をつくる最大のチャンスと思う、温暖化防止のための森林整備で間伐補助も増えている。確かに50年、100年先は生きてはいないでしょう。しかし、未来志向で目標を持つことが、自分自身の心を開き、仕事や人生も楽しく経営者としての視野も広がるのです。それともう一つは、核家族の弊害で最近は2世代、3世代のことまで考えなくなっている。立派な森林を子供や孫のために残して行くという考えは、日本人にとって大事な部分だと思う。山を愛せない人は人も愛せない。山を育てることはひとつの命を育てることである。エコや環境問題も原点は人であり一人の人間を大事にする事につながると信じているからです」と言う。
「父が昭和33年から実践してきた植林メモの大学ノートがある。親が身を持って教え自分もやってきたが、20歳頃から親父から言われた森林面積の10倍の目標350ヘクタールは達成した。今後3年間で500ヘクタールまで増やすことを目標に取組んでいくが、ただ、植林面積の規模とか、将来子供たちが山をどう利用するかなどは問題ではなく、目標を持つことと、木を育て守る精神が大事だ」と語った。
中村さんは、山をより美しくすると同時に、利益を生むことも大事、そして地域社会にも貢献できる"美・利・善"を基本的な考え方とし、また、若い頃から「青年は財産も地位も名誉もお金もないが"信用"と言う財産を築くことはできる」と、信用第一を今も変わらない座右の銘としている。