2009年1月25日
シリーズ「この人」酒井明香さん
(さかい・あきか)埼玉県出身。北海道大学農学部森林科学科卒業。同大学院中退。平成9年道庁入り。同11年から、道立林業試験場林業経営部経営科の配置。この研究に取り組んで5年になる。
木質バイオマスのエネルギー利用の研究に取り組む
酒井さんは、昨年秋に開かれた北海道立の林業試験場と林産試験場の研究成果発表会で「木質バイオマスをエネルギーとして利用するために」と題して発表した。
発表の冒頭、酒井さんは研究の背景と目的について「再生可能で温室効果ガスの排出の少ないエネルギーとして、木質バイオマスが注目されだして4~5年が経過しました。ところが、昨年2月の林野庁の発表では、森林バイオマス(林地残材)の利用はわずか1パーセントとなっています。利用の進まない最も大きな理由は収集・運搬コストが高いことです。そこでどうすれば効率的に町まで運べるのか、山側からできることを模索してみたい」と述べている。
未利用資源をいかに低コストに利用するかは、今、林業での最重要課題の一つである。酒井さんによると、森林系バイオマス基本データとして、森林伐採1ヘクタール当たり土場で収集できるバイオマス量は間伐で1~20トン、主伐で40~80トン(全木集材後)あるが、トラックに積むと空隙率が5~7割にもなり、「かさを減らすにはチップ化が最も有効である」ということだ。
その場合チップ化のコストは「3種の移動式チッパーで試験しました。最大処理径級の大きい機種ほど効率よくチップ化でき、グラップルローダーで補助する費用を含めても安くなった」という。ちなみに、コマツBR200Tの場合だと、チップ化する費用はトン当たり5300円という結果が出たそうだ。他メーカーの機械では1万8000円のもあった。コストについては、全国的にトン当たり1万5000円~3万円と高く、「少なくとも1万円を切るようにしたいもの」と話す。
そこで、現地チップ化と工場チップ化はどちらが低コストかについては「さまざまな仮定で結果は変わりますが、今回の事例では、運搬距離78キロメートル未満なら工場チップ化、78キロメートル以上なら現地チップ化が安く運搬することが出来ました」と述べている。分岐点は「78キロメートル」ということのようだ。
最後に今後の展開について酒井さんは「今まで廃棄物とみなされてきたバイオマスを商品として流通させるには、山側にも意識の転換が必要になります。また、山側と需要者側の情報交換をしやすくすることも課題。今後は条件を変えた試験を実施し、情報提供していく予定です」という。今後の研究成果にも期待したい。