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2009年1月1日

新春 木馬道スペシャル
「日日是好日」、景気対策の好機をつかめ

新たな年の幕開けに臨んで、元日の日の出を参拝する。朝日は一日が新たに生み出されていることを示す象徴であるともいわれる。「自分が向き合うべきことをメッセージとする一日が常に目の前に新しいものとして現れる」というわけである。中国唐代の名僧・雲門の言葉に「日日是好日(にちにちこれこうにち)」とある。過ぎ去った過去にとらわれず、まだ来ない未来に期待や不安を持たず、今ここにいる自分に感謝し、前向きに明るく過ごすことが最上の幸せであるという意味である。読者諸賢にとって、今年が成長と豊かさをもたらす素晴らしき、最上の幸せな年であるようこの場を借りて年頭に祈念する。

日本経済全般に目を向けると、昨年の米国の金融不安に端を発した世界的な経済混乱が今年に持ち越されている。多方面で「3月決算期の危機」が叫ばれているが、ある経済研究所では東証第1部に上場する主要企業の3月期業績は、経常利益が前年比で13・3%減少するとの見通しを示した。多くの企業が業績を下方修正していることから、最終的な利益水準は一段と下振れしそうで、この春を乗り切れない企業が続出する恐れがある。住宅関連業界では昨年はマンション販売業者の破たんが相次いだが、年末には大手住宅FC企業の松本建工が倒産するなど、戸建住宅業界にまで経営破たんの波が押し寄せてきており、木材、建材業界内にも信用収縮と需要後退への懸念が広がっている。

確かにマイナス要素はある。しかし、住宅関連業界にとっては決して暗い話ばかりではない。政府は景気回復のために今年から本格的な内需拡大策を決め、その中でも住宅分野を内需の基幹産業と位置づけ手厚い優遇策を盛り込んでいる。10年間で最大600万円を所得・住民税から控除できる過去最大規模の住宅ローン減税を実施するほか、住宅ローンを使わない場合の購入費やリフォーム費用の控除も実施することが決まり、「マイホームの新築やリフォームの注文は間違いなく増える」(大手ハウスメーカー)との明るい意見も多い。生活防衛意識を強める家計に、購買意欲や投資意欲を引き出せるかどうか不透明なところもあるが、建設関連企業としてはこうした優遇策を消費者に向けて最大限に活用するための自助努力は不可欠だ。

住宅瑕疵保証義務付け、CO2排出関連など新制度がスタート

住宅関連では、10月1日からは「住宅瑕疵(かし)担保履行法」がスタートする。これは耐震偽装強度問題に端を発し、瑕疵によって住まい手が不利益をこうむらないよう、住宅供給業者に保証金の供託か保険への加入が義務づける新制度である。木材、建材業界には直接関わりはないものの、国によって民間で指定された住宅瑕疵担保責任保険法人によっては設計施工基準の中で現場での含水率検査を義務付けるところもあり、無垢の未乾燥材や天然乾燥材にとっては非常に厳しい事態となってくることも考えられる。10月からの同法スタートまでの各協会の動きを注視していく必要がある。

このほか、今年から始まるものとして「二酸化炭素の排出枠を取引する国内排出量取引制度」があげられ。しかし、昨年末までの申請企業は510社と少数にとどまっており、制度拡充の必要性が露見した。企業からは「排出枠を取引しても削減につながらない」という疑念が多く、活発な取引を実現できるまでに制度の整備をはじめ、まだまだ時間がかかりそうだ。

ロシア丸太ショック、結局ロシアが不利益に

業界に大きなダメージを与えることが想定されるため、2年ほど前から関連業界団体等が働きかけを続けてきたロシア材原木の80%関税問題は、1月からの実施が当面は延期されることになった。しかし、延期の発表も昨年11月と直前で、国内のメーカーの多くはこの事実上の禁輸措置となることを前提に原料の転換や変更、丸太事業からの撤退などをすでに終えてしまっている。石油、天然ガスをはじめとするエネルギー価格の暴落や中国市場の減退などで外貨獲得の流れを後退させるロシアにとっては政策変更を図る余地はあるのだろうが、ロシアの原木関税問題はすでに「覆水盆にかえらず」となったといえよう。国内の関連企業は煮え湯を飲まされ苦しんだが、最も大きな不利益をこうむるのは結局ロシア自身となることはのちに明らかになるであろう。

ロシア丸太ショックの影響に限らず、今年も国産材が注目を集めるのは間違いないだろう。林野庁の進める二酸化炭素排出の「見える化」の取り組みは、木材が環境に配慮した資材であることを消費者にわかりやすく伝えるうで非常に有効である。昨年末にNPO法人広報駆け込み寺が行った日本に関するアンケートでは、日本が今後注力すべき産業として「農業・林業・水産業」が68%でトップになった。頻発する食の安全への不安が主原因であるが、「自給率の低さ」への不安も反映し、1次産業の重要性が再認識された結果である。年配層ほど支持率が高く、特に女性は40~60歳代で70%を超えている点も喜ばしい。国民の関心が向けられている今、日本の森林を元気にする取り組みを官民が一体になって打ち出すことが大切である。

「天の気、地の利、人の和」に王道あり

マイナスの材料しか見当たらない多くの産業界にあって、住宅をはじめとする木材、建材は最も恵まれた産業のひとつであることは間違いない。その中にあって繁栄の王道は故事にもある通り、「天の気、地の利、人の和」にあろう。NHKが来年の大河ドラマを直江兼継を題材とする「天地人」としたことも偶然ではあるまい。「天地人」のうち、ひとつでも欠いて、うまくいっているように思えたとしても、それはやがて自ら潰えていくことになるのは歴史が証明している。大手企業が自社の勤労者に温かみをまったく欠く所業の今だからこそ、「人の和」がより一層きらめく年になると本紙では今年を展望したい。