2008年11月10日
シリーズ「この人」須田直菜さん・JUON(樹恩)NETWORK
(すだ・なおな)1982年東京都国分寺市生まれ、26歳。2005年東京家政大学家政学部環境情報学科卒。現在、NPO法人樹恩ネットワーク勤務。座右の銘は「いい加減だと愚痴がでる、一生懸命だと知恵がでる」。東京は奥多摩町鳩ノ巣での森林ボランティア活動を通じて知り合った地元の方から教わった。
都市と農山漁村を結ぶ架け橋となる
「最近、林業に興味のある若い人が増えてきた。彼ら彼女らに将来像を提示することが求められている」
NPO法人「JUON(樹恩)NETWORK」(東京都杉並区、田中学会長)で総務や経理を担当、スタッフ部門として組織管理に尽力する一方、「森林ボランティア青年リーダー養成講座」の運営に携わっている。
都市と農山漁村を結ぶ組織「樹恩ネットワーク」は1998年、全国大学生活協同組合連合会の呼びかけにより発足した。95年の阪神淡路大震災における間伐材を利用した仮設学生寮の建設や支援活動などをきっかけにネットワークづくりの必要性が提起され、設立に至った。都市と農山漁村をネットワークで結ぶことで、過疎過密問題の解決や地方文化の発掘普及、環境の保全改良などに取り組んでいる。収益の6割を占める年会費のほか、寄付金や助成金、事業収入を中心に黒字化を実現している。
設立当初から手がけている「樹恩割り箸」の普及推進活動は、報道各社に紹介され、高い評価を受けた。間伐材の端材を製材メーカーなどから購入、徳島や埼玉、群馬の知的障害者通所授産施設や入所更生施設で製造、全国64の大学生協食堂に販売している。杉材の「裸箸」は4000膳、桧材の「完封箸」(袋付き)は3000膳で8736円。「木を伐る必要があるとは思ってもいなかった」「割り箸は使い捨てで、もったいないという悪いイメージがあった」とは学生の声。割り箸を通じて日本の森林・林業の問題を伝え、間伐という言葉を学生レベルにまで広げた。
「なんでこういうものを平気で売れるんだろう」
自宅が2×4住宅に建て替わった中学2年生の時、健康を害した。空中に飛散した化学物質によって肌は荒れ、皮膚がカサカサになった。シックハウスだ。「どうしたら、こういうことが起こらないようにできるか」。半年で完治したが、それが福祉や環境に興味を持つきっかけとなった。地元のフェスティバルでは障害者と触れ合い、ゲーム進行のボランティアを務めた。高校は都立の福祉コースに進学、大学では環境情報学を専攻した。
「地域がイキイキしていることが大切」
在学中、同ネットワーク主催の「森林の楽校(もりのがっこう)ヨーロッパ」に参加した。都市や森林を視察、行政担当者の話を聞くなか、地方自治が進んだドイツの環境への取り組みを確認した。帰国後も同ネットワークの活動に携わり、そのまま就職。都市と山村の交流を図る諸活動に従事する一方、週1回、ホームヘルパーとして障害者の介助に携わっている。
「一見、のんびりしているが、考えたりまとめたりするのが得意。ねばり強く、とことんやるしつこさがある」(鹿住貴之事務局長)、「事務所の雰囲気を温かくする和まし役」(柳井賢太氏)とは上司・同僚の人物評。
「東京に生まれ育ったけれど、近郊の奥多摩の山があんなにも荒れているとは知らなかった。同世代の若い人に現状を伝え、林業に従事する機会を与えたい。若い人をどう森に連れて行くか、どう森のことを知ってもらうか、日々考えている」
問い合わせ先=樹恩ネットワーク(電話03―5307―1102)、ウェブサイト=http://juon.univcoop.or.jp/、メール=juon-office@univcoop.or.jp