2008年10月20日
シリーズ「この人」大石駿四郎さん・九州杉バイオ事業協同組合代表理事
(おおいし・しゅんしろう)大正14年生まれ。熊本県木材協会連合会、九州木材組合連合会で現役会長を務める。熊本県知事賞、林野庁長官賞、農林水産大臣感謝状などの表彰受賞歴も華々しく、地方自治の功績から勲五等双光旭日章を受章。83歳の現在も現場ではフォークリフトを自ら運転する。
製材端材活用の「杉バイオ」生産に取組む
今年10月1日に九州杉バイオ事業協同組合(熊本県玉名郡)を発足させ代表理事に就任した。「製材端材利用の杉バイオが、トマト農家などのハウス用ボイラー燃料として需要が広がれば、CO2削減で社会環境にも貢献できるし、製材所も元気が出ますよ」と全国初の杉バイオ(商標登録)事業に情熱を燃やし、これを熊本県各地域振興局単位に普及させたいと語る大石駿四郎さん。
木質バイオマス燃料の取り組みは、新しい粉砕機の開発が進み、小さな木片粉砕チップ(杉バイオ)をボイラーの熱源として実用化する目処がついたことから、このほど同組合工場内に「コンベア粉砕機」を1500万円で導入、製材端材を8ミリ程度に破砕した木片チップ(杉バイオ燃料)の生産をスタートさせた。生産能力は1袋200キログラム入りを1日100袋(20トン)。ハウス農家は杉バイオ専用の全自動暖房用ボイラー設置が必要だが、大石さんは「冬春ものトマト農家がハウス暖房用に使う重油は、1反当たりドラム缶50本(5万キロカロリー)が必要、杉バイオ燃料と比べ生産コストは、3分の1以下と大幅に削減できる。重油高騰で苦境にあえいでいるトマト農家や温泉、クリーニング店からの問合せも増えている」という。
(社)熊本県木材協会連合会会長、九州木材組合連合会会長などの要職を担う大石さんは、大正14年生まれで今年83歳になるが、工場にいる時は、今でもフォークリフトを自ら運転し、現場で生き生きと陣頭指揮を取るエネルギッシュな姿はまったく年齢を感じさせない。これまでにも野地板をパネル化した「幅はぎ板」や、業界に先駆けた杉構造用集成材の生産、曲がり材製材のカーブーソーを機械メーカーと共同開発するなど常に一歩先を歩んできた。新商品開発が生きがいという大石さんは「今でも製材の仕事は楽しく面白くて仕方がない」と、杉バイオ事業に取組み始めてからは、毎晩7時まで工場内で仕事に没頭しているそうだ。
大石さんは、敗戦でソ連に2年間抑留後に帰国し、昭和24年から製材業を始めた。平成2年から3期12年間は、熊本県南関町町長を務めたが、戦後の48年間を木材業界に身を置き「製材業の発展なくして林業の振興はなし」の信念で、構造改善事業や、協業化による組合の育成強化にも尽くしてきた。
昭和48年には全国初の「幅はぎ板」(商品名グリーンワイド)を開発。同51年には低コスト量産の玉名製材協業組合を設立し、間伐小径木の有効利用で、同59年には林野庁林政記者クラブの「グリーン賞」も受賞している。同組合に隣接する玉名製材協業組合(大石彰理事長)の量産工場は、現在伊万里構造用集成材の杉ラミナ生産を主体に、原木消費量年間12万立方メートル規模の生産ラインを完備している。
これまで熊本県知事表彰、林野庁長官表彰や、地方自治での功績による勲五等双光旭日章受章など受賞暦も数多い。また、今月22日に、熊本市で開催される第43回全国木材産業振興大会では、木材産業功労者として農林水産大臣から感謝状を受賞する。
新事業の杉バイオ実用化は、林業・木材業界からも「木屑を付加価値の高いエネルギーに変えた先駆的な取組み」として注目されている。次々と新しい事業に挑戦する行動力、前向きな精神こそが大石さんの若さの秘訣だろう。