2008年10月15日
シリーズ「この人」吉条良明さん・東京木材問屋協同組合理事長
挑戦と飛躍、「新木材会館」に込める想い
(きちじょう・よしあき)全国木材協同組合連合会会長、東京都木材団体連合会会長など業界の要職を担う。消費者への啓蒙を信条とし、今年の都木連主催の木の日イベントでは国内最大規模の木工教室を開催した。
木の強さ、美しさ、やさしさを消費者に伝えたい
木材の街、東京新木場。その駅前一等地に東京木材問屋協同組合の「新木材会館」が建設真っ最中だ。地上7階、地下1階、延べ床面積7582平方メートルの威容が来年6月、完成する。その陣頭指揮を摂る吉条良明さん、同組合の理事長である。
「都市建築のなかで思うように使えなかった木材を、細かな検証データに基づいてどこまで使えるかの挑戦で、新木材会館を通して消費者に木の強さ、美しさ、やさしさを伝えたい」
昭和48年、高度経済成長に合わせて移転してきた木材団地も、さらなる環境変化を受けて新木場へ移転。国内最大、世界でも有数の木材流通、加工基地「新木場」が誕生する。それまでの木場周辺からすべての木材関連業者が移転し終えるまでに、およそ9年の歳月を要した。その新木場も誕生から30年経過し、当時とは様相もがらりと変わった。新木場駅は3本の鉄道路線が入り、乗降客数は1日20万人。駅周辺には一般企業だけでなくライブハウスやプロレスリングまである。
新木材会館は新木場駅舎2階から望むことができる。基本構造は鉄筋コンクリート造だが、内装、外装部に木材を奢る。
「見せる部分に木材を使うことが重要で、テラスなど外装は木材がそう簡単に腐らないことの証明になる」
最上階の7階ホールは木構造となる。最大27メートルスパンの梁(梁間23メートル)をとばす大空間が高度な技術の集大成だ。桧4メートル×12センチ角約8000本を使用し、梁の継ぎ手(梁同士をつなぐ部分)は追っ掛け大栓(おっかけたいせん)継ぎ。刻む手間はかかるが、通常の継ぎ手よりも強度を誇る。
「さまざまな規制がある。多くが初めてのことだけに法的な検証を重ねる必要がある。そのためにデザインも複雑を極め、工期も同規模建築物と比べて3倍ほどかかる。内容だけ見れば超高層建築に匹敵する」
平成18年、同組合の創立100周年にあたり、記念事業の一環として新木材会館の建設は計画された。木材の町・新木場が変貌する背景に木材業界の縮小がある。かつて何百社とあった新木場の木材関連業者も、その多くがいまはない。
「業界の新たな出発にふさわしいシンボルになればと願っている」と吉条さん。込める想いは業界の飛躍だ。