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2008年10月10日

シリーズ「この人」中野勝利さん・森づくりの達人

中野勝利さん・森づくりの達人
(なかの・かつとし)昭和14年3月生まれの69歳。趣味は山仕事。平成17年に毎年全国から選出される森の名手・名人100人の「森づくり部門」に県下でただ一人、"森づくりの達人"に選ばれた。

健全な森を次世代に残したい

林業に関わり50年余りになりますが、昔は林業に夢がありました。蒼蒼たる山をつくりたいと、念入りに下刈りや徐間伐などをし、20~30年先にはその恩恵が受けられると、夢を持ち仕事をしてきました。ところが収穫する時期になって、林道もつくり、いよいよ出荷という時に材価が下落。昭和48年~59年のピーク時には杉丸太1立方メートル平均3万5千~4万円していたものが、現在では8千円~1万円と、4分の1から5分の1に下げています。半面、人件費は昔の約30倍に上昇。こうした状況になるとは全く予想できませんでした」と林業経営の厳しさを語る。

中野さんは平成14年に鹿本森林組合(2150人)の組合長に就任し、管内森林整備事業、鹿本木材共販所事業など組合運営に尽力。鹿本地域の森林面積は約1万7千ヘクタール。うち民有林が1万4900ヘクタールで、人工林は9633ヘクタール。35年生~50年生の要間伐林が5千586ヘクタールで人工林の58%を占めている。

森林整備について中野さんは「林業従事者の高齢化が進み、現在は鹿本地域振興局林務課の指導で、担い手確保の一環と森林組合と地域の建設業者が一体となって"ふるさと森林づくり隊"を設置し、森林整備を行おうとしているところです。もちろん森林組合が核となって建設業者には技術指導等を行っていきます。こうした取組みは県下でもはじめてです。今後の森林整備事業は、林家に理解して貰いながら集団施業の提案型で進めていくことが大切だと思います」という。

鹿本地域は木材関係者だけではなく、関連業者との連携が強く、アヤ杉の需要拡大、PRなどにおいても、地元の工務店、加工業者、森林組合、建築士ら木材・住宅建設など関連業者11人で、平成16年には「あやすぎ家造りネットワークの会」を発足させ、アヤ杉の需要拡大にも積極的に取組んでいる。

「鹿本特産のアヤ杉は県下でもスギの女王として広く知られているブランド材です。人工林の約70%がアヤ杉ですが、木肌が薄赤身を帯びて美しい光沢があり、材質は堅く目が詰まっていて、特に建築材に適しています。最近では福岡県大川市のお寺の庫裏をアヤ杉で建築し、大変好評でした」と中野さん。

近く、山鹿市総合庁舎、学校校舎、桜湯などの公共施設の建設が計画されており「あやすぎ家造りネットワークの会」の副会長でもある中野さんは、同会会員と山鹿市を訪れ、中嶋憲正市長に地域林業・地域産業の振興のために、庁舎建築等に地元特産のアヤ杉をふんだんに使用してほしいと、要望書を提出した。

森づくりは「親父の足型が肥やしになる」と暇さえあれば山に行くという中野さん。「日本の資源は森林だ。いまは厳しいが、国産材時代が必ず来ると確信している。次世代に健全な山を残すためにも、山の火を消さないよう歯をくい縛って頑張っています」と、健全な山づくりへの思いを語った。