2008年9月25日
「日本の杉は世界一安い」 国産材輸出促進セミナー
日本木材輸出振興協議会(東京都文京区、安藤直人会長)はこのほど、東京大学農学部弥生講堂アネックスで「国産材輸出促進セミナー」を開催。日本、中国、韓国で最先端の研究を行っている専門家を招いて、木材や木製品、木造住宅に関する国産材輸出展望をテーマに議論、木材の魅せる化や中国内装材市場の開拓、ブランド化の策定・実行など具体的な提言をまとめた。
近年、中国や韓国における木材の消費・輸入量は大幅に伸び、木材や木造住宅に対する需要が高まっている。一方、日本では持続可能な森林資源の利用拡大促進の一環として、海外市場への国産材輸出拡大の取り組みがなされており、特に中韓への木材輸出や木造住宅モデルハウスなどの建設が漸進的に行われている。
今回、同セミナーでは、東京大学大学院の安藤直人教授や南京大学の呉智慧教授(東京大学客員教授)、ソウル大学の李銓済教授が講演。現地最新事情を解説したほか、日本産木材利用の可能性や今後の課題を提言した。
安藤教授「『見える化』から『魅せる化』にすることが大事」
安藤教授は「海外における国産材活用と今後の課題」をテーマに講演。「近年、買い手側に木材の価値観は薄れている。木材を普及させなければビジネスとして成り立たない。そのためには、皆がハッとするような木材や木造住宅、またその技術を『見える化』から『魅せる化』にすることが大事」と説明。「現在、日本の杉や桧は、中国や韓国では構造材として認められてなく、現地国産材と90年代後半から持続的に中韓市場を開拓したカナダ材のみが流通している。日本の杉は世界一安い。まずは、中韓で内装材に活路を見出すことによってその将来性を確保すべき」と提言した。
呉教授「中国の家具と内装材を併せた市場規模は年間29兆円」
呉教授は「中国における木材・木質構造の最新事情」をテーマに講演した。現在、中国の木材消費量は年間3・3~3・8億立方メートル(国産材50%、輸入材50%、2007年ベース)に達している。対2002年比で約2倍の伸びを見せており、今後も工業用(建築や内装、家具、紙など)の大幅な需要増加が予測されている。
一方、中国の人工林面積は7132万ヘクタールと世界の3分の1を占め、世界一の規模にある(用材林=5410万ヘクタールでも世界一。日本の人工林面積=1032万ヘクタールはインド、米国、ロシアに次いで第5位)。その内訳は、ポプラ(700万ヘクタール)、桐、ユーカリ、ゴム、アカシなど上位5種が広葉樹である。そして、その「ポプラの中国国内おける流通価格は、日本の杉の日本国内流通価格よりも高い」という。
しかし、現在、中国において日本の木材は「構造材として関係当局に許可されていない」が、「針葉樹を用いることが多い」家具の生産額を見ると年間8兆円(木製家具80%、2007年)と対2002年比で約3・8倍の伸びを見せている。また、内装材の生産額は年間21兆1500億円(内装材を含まない建材の生産額75兆円、中国GDP370兆円、2007年)と対2002年比で約2倍の伸びを見せている。家具と内装材を併せた市場規模は年間29兆円。「そこに日本材の参入余地がある」という。さらに「今後開発が予定されている新農村と小城鎮(10万人規模の町)の建設や、中国材製品の輸出制限撤廃などがビジネスチャンスになりうる」と説明した。
李教授「取扱説明書付きの製材や集成材の輸出を要望」
李教授は「韓国における木材・木質構造の最新事情」をテーマに講演。「近年、中国からの木材輸入が増加傾向にあるが、日本の宮崎杉が2006年から市場に進出、ブランド化を図りシェアを伸ばしている」という。また、「木造住宅は2×4工法から軸組工法に転換しつつあるが、技術力のある大工が少ないため、日本側が製材や集成材を輸出する際は、取扱説明書を添付することが望ましく、技術移転の推進や教育活動を先行するべき」と提言した。
同協議会によれば「現在、中国のマンションでは、内装の高水準化が進められており、内装済みの住宅販売を全力で推進していることから、内装材料としての木材の利用が拡大している。中でもフローリング材の需要は旺盛で高い成長を続けている。また、中国の家具メーカーは現場で採寸し、工場で加工した家具を据え付けるという業務も行っており、若い消費者にはオリジナル家具への欲求も高まっている」という。日本企業には、こうした巨大なマンション内装ニーズや高品質戸建住宅ニーズをあくまで正確に読み解き、海外企業に先行して規格やルールを開発・普及、一致団結して技術移転に注力、高品質のモノやサービスを提供する経営戦略の策定・実行とリーダーシップが求められよう。