2008年8月25日
シリーズ「この人」池田元吉さん・熊本県林業研究指導所
(いけだ・もとよし)熊本県庁入庁後、熊本県林業研究指導所勤務。現在、研究主幹兼林産加工部長を務める。木材乾燥のエキスパートとして活躍し「乾燥材生産の集約化」を今後の課題に据える。
国産材の需要拡大には乾燥材の高品質・低コスト化が不可欠
「今は、木材は家を建てる人が選択するのではなく、プレカット工場が選択する時代になってきました。とくに建築基準法の改正で、こんご乾燥材の生産供給は不可欠ですが、今のように原油が高騰すれば、乾燥材の生産コストが上がり、製材品に価格転嫁できない現状では、燃料を油から木屑に変えるなどのエネルギー対策が先ず必要でしょう」と語る池田さん。
昭和55年3月に鳥取大学農学部を卒業、同年4月、熊本県庁に入庁以来今年で28年になる。その間、鹿本と阿蘇事務所の林務課に8年勤務した以外は、県林業研究指導所勤務が20年、平成11年4月からは同所林産加工部長として木材強度と木材乾燥の研究畑一筋に。熊本県木材業界では、木材乾燥のエキスパートとして知られている。
「杉芯持ち材の乾燥は難しい。高温乾燥だけでは、内部割れや、香り艶など本来の木材の良さがなくなります。中小工務店も最近はプレカット加工中心で、乾燥がキチットされた材料でないと使えない。この内部割れを防ぐには、やはり高温、低温、前処理等をセットにした「組み合わせ乾燥」が必要だと思います」と、化石燃料依存度を減らし、乾燥材の材種や用途に応じた低コストで高品質な乾燥材供給の重要性を強調する。
また「国産材に追い風と言われていても、新しい時代の流れに沿った使える材料を供給しない限り、ムク材は、集成材にシェアを奪われることになるでしょう。信頼性の高い良質な乾燥材の安定的供給体制を早急に整えることが大切です。それには地域の製材所が共同で取り組む、乾燥材生産の核となる乾燥センターを設置するのも一つの方法で、トータルコストの削減と、乾燥技術者の育成にもつながると思います。県産材の需要促進と、乾燥材の供給量増加は同意語と考え、これからも高品質乾燥材の増産に向けた技術提案を続けて行きたい」と語る。
乾燥コスト削減の具体的取り組みとして、温泉地帯の熊本県阿蘇郡小国町地区では地熱を利用した低温乾燥の開発がある。また、一般の乾燥材生産現場の養生施設として、棚のある倉庫を、養生時間短縮のために、棚上の桟積み空間を一つの加熱空間とする「小空間加熱養生」と呼ばれる低コスト加熱装置も試作。そのほか乾燥機内で木材の曲がりを抑制するために開発したアルミ桟木も「全国にサンプルを送って試用してもらっているが、反応もよく、最近使いたいという企業も増え、鹿児島の製材所からも注文があり、動きだしました」と目を細めた。