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2008年7月30日

シリーズ「この人」鎌田勇平さん・能代市・樽富かまた

鎌田勇平さん・能代市・樽富かまた
(かまた・ゆうへい) 「天然秋田杉が枯渇しても創意工夫で生き残る道はある」と語る鎌田さん。

桶樽技法にアイデア加えて新たな工芸品つくる

木都・能代市の桶樽業界でも創業弘化3年(1846年)という老舗、鎌田さんは天然秋田杉を主体とする伝統的な桶樽技法に、さまざまな新しいデザイン・技法・アイデアを加えて次々に新しい工芸品を生み出している。

一方、伝統的な桶樽の長所も決して忘れてはいない。例えばお櫃(ひつ)にご飯を入れると自然に発酵が始まるからご飯がおいしくなる。飯切(はんぎり=寿司桶)は酢に漂白作用があるから、いつまでも木の自然の色を保つ。鎌田さんの飯切を手に入れたある高名な料理研究家は「ずっと探していた。竹のタガがついた飯切をやっと見つけた」と絶賛したそうだ。

鎌田さんは昭和60年に伝統工芸士に認定され、能代市商工会で知事賞を4回受賞したほか、伝統的工芸品産業振興協議会奨励賞、通商産業生活局長賞など多くの表彰を受けていて、能代だけでなく県内でも有名人。

さらに高島屋デパート5月恒例の伝統工芸展をはじめ、四国を除く全国各地で秋田県産品の展示販売など、精力的に秋田の良さを売り込んでいるので、読者のなかにも「あぁ、あの人…」と思い当たる方も多いはず。息子の康平氏(44)も家業を継ぎ、伝統工芸士の資格を取って全国を駆け巡っている。

鎌田さんは「芸術的な作家志向ではなく、日常生活の道具を作ることに徹したい。秋田杉の製品はぬくもりがあり、使うことによって癒されてますよ、と口で言うのではなく、使うことによって自然に癒され、ぬくもりが感じられる木の道具を作りたい」という。

希少化した天然秋田杉を、無駄なく使うことにも徹している。「これまでシラタは水を吸う・腐れやすいということで桶樽には使われなかった。しかし、このシラタの欠点を克服すれば用途はグンと広がる」と言って赤身とシラタを巧みに組み合わせ、コントラストの面白さを狙った商品も開発した。「開発には苦労したが、天然秋田杉が枯渇しても、創意と工夫で生き残る道はあると思う。伝統の長所に、新しい時代のニーズを盛り込んでいけば、桶樽の世界は決して絶えることはないだろう」と語っている。