2008年7月5日
シリーズ「この人」佐川広興さん・協和木材社長
(さがわ・ひろおきさん)丸太消費量年間13万立方メートルの国産材製材のトップメーカー社長。岩手県産の地松KD材製材にも強い。
大断面ムク材で国産材振興に弾み
国内最大級の国産材専門メーカーである協和木材(福島県東白川郡)の佐川広興社長は「製品価格の下落と原油価格の急騰がここまで厳しいとは思っていなかった」と約1年半前の新工場設立当初を振り返る。年間13万立方㍍の丸太消費で、杉柱材、アカ松KD製材メーンの同社にとって原油価格の急騰や住宅需要低迷の影響は深刻だ。「WWより安くなっても売れない状況はとても考えられなかったが、改めて業界挙げたPRでコツコツとシェア奪還を目指したい」と現状を話している。
同社は06年10月、国のモデル事業「新生産システム」の中核として敷地面積14万8千平方メートル(東京ドーム3個分)の新工場を設立。「木屑ボイラーの熱源利用と高性能機械、24時間操業で主要構造材を外材からシェア奪還するのがテーマだった」と話す。低コストで高品質な製品は市場でも高い支持を得た。だが、取り巻く環境は好転するどころか低迷の一途。前述の「安くても売れない」ジレンマに陥った。「品質の正当な評価がなくムク材メーカーとして現状の逆風は否めない」と佐川社長。
この逆風は国内のトップメーカーとしての矜持を奮い立たせた。外材への対抗軸として価格面は避けられない。ゆえにコスト高となる原油については工場段階での努力としてゼロエミッション化の基盤を整えており、近い将来の対応を可能とした。一方、製品については「国内資源として豊富な杉材の高度利用がカギ。ロシア材の影響で杉羽柄材の需要が伸びた。今がチャンスでもある」と広い視野で現状をとらえている。
新規需要として住宅のフロア材や壁材などの少ないボリュームゾーンではなく、柱材、ハリケタ、母屋角など主要構造材での需要創造が同社の命題とも自覚。「ムク材は細かなクレームがあるが、接着する構造材とそうでないムク材とでは消費者の安心感が違う」とし「そのためにもムク材の多角的な評価が必要で、強度面、樹種別耐久、接着材問題など業界挙げてのアクションが求められる」と話す。
佐川社長の国産ムク材へのこだわりは強い。200年住宅についても「長期にわたって実績があるのはムクの木材しかない。主要構造材の国産ムク材化については具体的構想として5寸角以上の国産大断面ムク材がキーワード」との見解を示す。地域材として細分化され、もう一つ波に乗り切れない国産材製品。大きなテーマを持って業界が一致団結しなくては乗り越えられないハードルが今、迫っているのかもしれない。