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2008年5月15日

シリーズ「この人」中村綱比出さん・飯能市 民宿「西山荘・笑美亭」経営

中村綱比出さん・飯能市民宿「西山荘・笑美亭」経営
(なかむら・つなひでさん)名栗村生まれの43歳。民宿は奥さんとの二人三脚で経営。「10歳の長男に誇れるような男でありたい」と話す。横は西川材を使った学習机。

埼玉県と東京都、山梨県の県境で都心から電車とバスを乗り継いで3時間、入間川上流の源流域にある埼玉県飯能市名栗。そこで民宿「西山荘・笑美亭(せいざんそう・わらびてい)」を営むご主人・中村綱比出さんは12年前に稼業の民宿を継いだ。当時、地元・西川材を使った木造軸組伝統構法で新築した白壁の建物が周囲の緑に溶け込む。内装もムク材や無塗装にこだわり、都心から癒しに訪れる宿泊客をゆったりとした時間で歓迎する。

「宿泊客はリピーターが多く、最近は環境やエコに興味を持たれる方も増えてきた」と話す中村さんは、NPO法人日本エコツーリズム協会が認定する「エコツアーガイド」の顔も持つ。また、名栗地域は環境省の進めるエコツーリズムのモデル事業の全国13地域の一つとして5年前に認定され、これを機会に中村さんの環境や地域への意識は強まる。「地域を活性するための地域資源とは何なのか」と自問自答を繰り返していた。

転機が訪れた。平成17年、名栗村が飯能市に合併された。「地域産業で生きるものにとって地域の名前がなくなることの重さを思い知った」と当時を振り返る。インターネットで検索できなくなり、週末のランチの売上げも激減。「バスでやってくる登山客が見る見る少なくなっていくのがわかった」と話す。地域再生に燃える転換期となった。あらゆる情報を収集、分析し、企画書作成と多忙な日々を送った。「地域で飯を食べていける力をつけたい」その一念が原動力だった。

埼玉県で地域資源は飯能市の西川材と秩父市の和銅遺跡が認定を受けている。中村さんも西川材を使うことで水源林の育成、CO2の固定、林業家育成などの問題解決をうたった。そうしてできた企画が「西川材を活用した親子の学習机体験事業」。宿泊客が1泊2日で地元の家具工房で指導を受け、親子で学習机をつくる企画は経済産業省の「地域産業資源活用事業計画」の第一号認定事業となった。サブタイトルには"オヤジの復権プロジェクト"という見出しが躍った。

3月に第1回体験事業を開催した。中村さんは「まだ試作の段階。今後は価格やデザインなどソフトの面で練り直して物販につなげることを考えている」とすでに次のステップを踏み出している。