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2008年4月30日

【直前レポート】世界の木材需給を変えるロシア材原木輸出税80%

合板用材として国産材の利用が注目されている。ロシア材原木輸出税が来年1月から80%になり、価格が大きくハネ上がるために事実上原木の禁輸状態になるからだ。針葉樹合板に使われている国産材はスギ、カラマツやヒノキだが、特にロシアカラマツに代わる国産カラマツは中部森林管理局管内の長野県と岐阜県に蓄積量約1200万立方メートルと集中しており、他では北海道にしかない。しかし合板業界としては合板用にロシア材250万立方メートル以上も輸入しており、その代替材を国産材だけでなく米材、NZ材などへ急に肩代わりできない。このロシア材原木輸出税80%は合板だけでなく製材や集成材製品の供給にとっても世界的に大きな影響を与えそうだ。

税率80%は「3・6倍」の価格に?

ロシア材原木の輸出税が今月から5%上がり25%に、そして来年1月から80%にハネ上がる。国産針葉樹合板に使うロシア産原木は年間250万立方メートル以上輸入しており、これが輸出税80%になれば事実上使えないことになる。この80%輸出関税は、内税方式なので原木の実際の価格は「3・6倍」になるとの指摘がある。これまで1万円だった価格が3万6000円になるのだから、来年1月からこの税が実施されれば事実上「原木禁輸」になる。そこでロシア材の代わりに何を使うかが問題になっている。NZ材、米材や国産材が代替材としてあるが、いきなり250万立方メートルの代替樹種はどこにもない。250万立方メートル以上と言えば、米材原木全体の量に匹敵する。米材のベイツガも検討されたが「ヤニなどの材質面で使いにくい」との指摘もある。

国内は合板向けルート確立で流通シェア激変

国産材ではスギ、カラマツやヒノキ低質材がすでに利用されているが、国産材の場合、供給面で問題がある。伐採する作業員の養成に時間がかかるし、高性能林業機械の導入やそのオペレーターも増やさなければならない。ただ温暖化対策として、全国で間伐など森林整備を6年間で330万ヘクタール行い、年平均では55万ヘクタール実施、さらに20年度は20万ヘクタール追加する。中部森林管理局では今年度は2000ヘクタール増やし1万200ヘクタールの森林整備を計画。そのほとんどがカラマツの間伐に力を入れる。そこで「間伐促進の受け皿」に合板需要がなれば、林業関係業界の期待は大きくなる。むしろカラマツやスギをめぐって合板工場の「資源獲得競争」が激しくなるとみている。そして原木の流れが合板工場という大きなパイプを新たに持ち、従来の原木市場や製材工場向けを縮小させると警戒する向きもあるほどだ。

ロシアの資源戦略で揺れる木材相場

日本はロシア材原木を約500万立方メートル、中国は2500万立方メートル、北欧ではフィンランドが1300万立方メートル輸入していた。そこでロシア材原木が事実上輸出禁止状態になれば、世界の木材相場が大きく影響されることも指摘される。実際、フィンランドの原木価格は世界的な住宅不振になっても高止まりして、ユーロ高と重なり輸出競争力が低下し苦境に陥っている。またロシア材最大の輸入国の中国は「半製品で輸入すればよい」との見方から日本ほど騒いでないと伝えられる。しかし輸出関税上げによるロシア材原木高に加え、元が1ドル7元を割り込み3年ほどで20%の元高や還付税13%が無くなり、さらに賃金上昇や輸送費値上げなど重なり「フローリングやフリー板など30%前後のコストアップ」(現地工場関係者)。そこで中国では木材製品に限らず付加価値の低い家具、繊維などの企業の倒産や廃業が相次いでいる。

この点は日本の合板、製材や集成材業界も同様である。裏日本の北洋材製材工場は原木から製材するのはほとんど難しくなっているし再割原板製材も、ロシア現地工場の材質が良く値段の安い製品に押され採算が厳しくなっている。原木輸出関税80%はプーチン大統領の強い工業化政策として行われており、伐採権を取得するには工場建設が義務付けられていることから、ロシア現地では大型工場建設が他業種の資源大企業など新規参入して建設ラッシュとのことだ。木材も資源として原木ではなく、製品化して輸出するロシアの強い意志が感じられる。(大山 繁春記者)