2008年4月20日
シリーズ「この人」齊藤千代さん・札幌大谷第二幼稚園園長
幼児の森林環境教育に取り組む
齊藤さんが園長を務める札幌大谷第二幼稚園(札幌市中央区)は、高層マンションが林立する地域の一角にある。右を見ても左を見てもビルばかりで自然がない。入園してくる幼児は当然ながら周辺のマンションに住んでいる子が多い。
齊藤さんの幼稚園では、毎日午前10時になるとバスで近隣の円山公園、旭山公園、荒井山などへ出かけて自然の中で子供たちを遊ばせる。「近くの森林や川、海、山に毎日出かけます。雨の日も、吹雪の日も出かけます。そうすることで同じ樹の香りも違いますし、出てくる虫も違い、雨の日にはミミズやカタツムリに多く出会います。吹雪の風当たりは谷間では違いますし、体の向き方でも風力を弱く感じることが出来ます。日々、森林の姿には違いがあることを見せます」という。
齊藤さんは、こうした森林環境教育を40年近くも前から実践してきた。「森林に入れば豊かな動植物が学ぶ機会を与えてくれます。自然界の食物連鎖を子供たちの目は逃しません。好奇心旺盛な幼児期に、その不思議さに気付き、美しさを感じる感性を育み、自然を大切にする心を、肌を通して育てたいと思います。そのためには自然の中に入り込むことです。自然は生きた教科書だと思っています。ですが、教える教育ではなくセンス・オブ・ワンダー、すなわち感性を磨くことが幼児期には必要と思っています」と語る。
齊藤さんは大学の英文科を卒業後、結婚して子育てに入るが、一般の幼稚園における「子どもを外へ出さない」教育の在り方に疑問を感じ、自ら野外で子育てをするボランティアサークル「みちくさの会」を作る。1982年から札幌大谷第二幼稚園に25年間勤務。最近でこそ、森林や自然を教育と関連付けて考える人が増えているが、齊藤さんは40年近くも取り組まれていることを評価したい。「地道ですが、継続は力なりと信じて40年も続けています。これからも続けていきます」と明るく答えてくれた。
しかし、現実問題として「ボランティアのサポートが必要」と訴える。ちなみに北海道が導入を検討している森林環境税についても「森林ボランティアのために、たとえば交通費の補助などに使われるとありがたい」と提言している。