2008年3月25日
有望な資源として脚光浴びる「カラマツ」 温暖化対策で蓄積量1200万立方メートルの本格的な間伐も
中部森林管理局(長野県)管内でも長野、岐阜県主体にカラマツ人工林蓄積量が約1200万立方メートルあり、今年4月からスタートする地球温暖化防止のための「森林吸収源対策5カ年計画」で間伐による森林整備の主要な森林になることから合板や集成材用のB,A材として供給量が徐々にではあるが増加傾向に転じる初年度になる。また新たにカラマツA材を平角や土台の人工乾燥材に十分に乾燥できる「過熱蒸気式木材乾燥」の実用実験が成功したことから、強度、耐朽性に優れ供給、価格の安定したカラマツを外材に十分対抗できる建築材に製品化するための取り組みも出てきた。これまで厄介ものになっていたカラマツ人工林が「宝の山」になるかどうか注目される。
東西合板工場が狙うカラ松資源
合板用原木としてはこれまでロシア産カラマツが主体であったが、来年1月から輸出関税が80%に跳ね上がり輸入コストが急上昇することからロシア産カラマツだけに依存するわけにいかず、これまで十分に利用されなかった日本国内のカラマツ資源が脚光を浴びてきた。合板最大手セイホクが先に岐阜県中津川市加子母に初めて内陸に針葉樹構造用合板工場(年間原木消費量10万立方メートル、12ミリ換算で同250万枚から300万枚)を建設する計画を発表したが、これは岐阜県内の豊富なスギ、ヒノキとともに近隣のカラマツ資源も視野に入れたものと推察される。すでに中部地区には林ベニヤ七尾工場がスギやカラマツB材を広範囲に集荷しており、これにセイホクが加わったことで合板工場間の集荷競争が激しくなる可能性が指摘されている。
梁桁に適した強度、耐久性魅力
さらにカラマツは曲げヤング率が105あり、ヒノキの90を上回り耐朽性は「中」(森林総研データ)と構造材としての性能が優れている。この点は改正建築基準法によって住宅や構造材の性能を消費者に明示する必要が出ていることから、特に梁桁や土台に採用したいとのビルダーの要望も一部すでに出ている。オール国産材住宅で強度、耐久性の高い住宅を、大手住宅メーカーとの差別化商品にしたい地域工務店のニーズに合っているからだ。ただ、カラマツは乾燥が難しく乾燥コストも高くなっていたことから建築材としては一部地域しか使われなかった。それが、既報の通り過熱蒸気式木材乾燥機(販売・㈲岐阜木材乾燥、製造元・(株)Dream98)による梁桁の乾燥実験で平衡含水率以下の安定した品質の乾燥材が4,5日でしかも不良率5%以内で実用化できたためにカラマツ梁桁KD材の商品化のめどがついた。この乾燥機によって建築材はもとより家具などにもカラマツの有効利用がしやすくなった。岐阜県下の大手家具メーカーは「カラマツの乾燥が簡単にできることから、カラマツ原木の供給が止まって中断していたカラマツ家具に再度取り組んでみたい」と希望を述べていた。
資源はあるが生産体制、太さに問題
しかし、カラマツを大量に合板や集成材、建築材や家具にすぐに使えるかというと、まだ大きな問題がある。1つは資源的には1200万立方メートルと豊富だが、実は間伐などの生産体制がまだこれからということだ。また中部森林管理局は、地球温暖化防止のための森林吸収源対策として各流域の間伐計画の増枠を発表している。たとえばカラマツの多い中部山岳(中信、木曽)は約11万8900を約21万4200立方メートルの増枠を筆頭に、各流域の間伐計画を2万から10万立方メートル増やし、全体で34万5800立方メートル増枠した。間伐生産量は約159万立方メートルにし34万5800立方メートル増やす(9流域の地域管理経営計画と国有林野施業実施計画)。しかしこの間伐材の生産量の数字は捨て伐り材も含む数字であり、特に建築用材としてのA材の適材がどれだけ供給できるかという問題がある。蓄積量を樹齢別で見ると50年生以下の10齢級以下が多く、10齢級の平均胸高径は約22から24センチぐらいであり、いろいろなサイズが必要な梁桁材にはまだ小さすぎる点がある。このサイズへの対応についても方法が検討されている。