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2008年3月5日

シリーズ「この人」藤田容代さん・レディースネット会長:豊富な議論とマーケティングに基づき、豊かな森林づくりを積極提案

藤田容代さん・レディースネット会長
「花粉の少ない森づくり基金にご協力ください」(藤田さん、募金箱の前で)

藤田容代さん・レディースネット会長
「森林の力は私たちの心や体の問題を解決に導く」と話す藤田さん

「林業の職場に元気な女性は多い。現状を変える、やる気のある人たちが集まっているのがレディースネット」

全国の都道府県で働く女性林業技術職員、425人が所属するグループ「レディースネットワーク21」の会長を昨年3月に引き継いだ。豊かな森林づくりと皆が明るく暮らせる農山村の実現を目指し、自治体の枠を超えた連携を進めている。

同グループが産声を上げたのは1992年。林野庁主催の森林国営保険初任者研修で出会った3人の女性技術職員が意気投合、全国の都道府県で働く女性林業関係者に呼びかけて発足した。その当時、森林の世界で女性は少数派。少数派ならではのネットワークをつくり、元気がない森林に新風を吹かせたいとの大志を抱いた。「アイデアの発信基地」を旗印に、まずは会員の情報交換ツールとして会報を発行。会員の間で何かと不満の多かった作業服を取り上げ、快適にする工夫などのアイデアを募集した。この特集が大きな反響を呼び、山の仕事着の開発へと発展していった。

次に取り組んだのは、山村地域住民と会員の交流を目的とした研修会の実施。発足メンバーの塚本愛子さん(高知県)や曽我千文さん(東京)、内田恵さん(京都)が中心となって、「女性は村の太陽だ!」をテーマに高知県で体験セミナーを開催した。夜なべ談義では、夜を徹して森林の問題やこれからの活動について語り合い、親睦を深めた。この取り組みは、各県持ち回りで今でも続いており、同グループの恒例行事となっている。

また、会員間の情報交換が活発になったこともあり、「山村活性化の鍵を握る女性の地域における役割調査」を実施。国土緑化推進機構の「緑と水の森林基金」の助成を受け、全国に張り巡らされたネットワークをフル活用し、聞き取り調査により山村女性の生の声を集め、女性の地域での役割について集計・分析を行った。調査結果からは、家庭や地域社会で重要な役割を担う山村の女性の実態が浮かび上がり、体験セミナーで抽出した仮説を実証するかたちとなった。

その後も森林環境教育事業への取り組みなどを通して、同グループのオリジナルプログラムによる森林教室の開催や事例調査などを実施。2004年には、設立以来10年間にわたりグループを運営してきた会長の塚本さんに代わり、「第2世代」が「大事に育てられたものを受け継いだ」

「設立当初は、少数派である女性が集まる必要性はあった。だが、現在は女性だからといった不利益はなくなってきている。レディースネットの求心力、あるいは存在意義が薄れてきているのは事実。今の状況に合うような生まれ変わりをしていかなければならない」

大学で森林の施業を学び、大学院で森林科学を専攻、国産材の流通プロセスや地域材を使った住宅に関する意識の研究を行った。サークルは生物学研究会に所属。山に合宿に行っては植物や鳥、昆虫などを観察した。高野山麓では「野草を食べる会」を実施、野草を食すことに「とりこ」になり、テント持参で訪れた石垣島では大自然のなか地域住民や他の旅行者との交流を深めた。

「人と話をするのがすごく好き」。イベントを見つけては足を運び、多くの人とコミュニケーションを図る行動様式は、社会人になってからも続く。休日を利用して訪れた長野県では、地元の森林組合が実施したイベントに参加。そこで「情熱的で、アイデアが豊富で、行動力がある」女性と出会い意気投合した。

「学生・院生時代は一貫して林学を研究、一時は研究者への道も考えたが、次第に学んだことを実際の林業の現場で活かしたいという気持ちが強くなり」、大学院修了後の2002年、「より現場に近い」東京都に入庁、水道局水源管理事務所に配属、森林調査や治山工事などに携わる。2007年3月には産業労働局森林事務所森林産業課に異動。林業普及指導員として森林管理・経営指導等に従事している。「めげることがなく、前例に流されない」「判断が早く、のめり込むタイプ」とは上司の人物評。「現場で頑張っている人と一緒に地域を良くしていくことができるのでやりがいがある。ただし、現場の期待に応えられなかったときは、非常にもどかしい思いがする」。林業研究グループなどの指導・助言業務に従事する一方、レディースネットの運営にも尽力している。

<ふじた・やすよ>
東京都出身。2000年東京大学農学部卒。02年同大大学院農学生命科学研究科修了後、東京都入庁。07年よりレディースネットワーク21会長。