2008年2月15日
シリーズ「この人」井出道雄さん・林野庁長官: 現場主義で山村振興を目指す
いで・みちお 全国に網羅する独自ネットワークは「趣味の旅行で培ったもの」、座右の銘は「ひとの陽だまりになる」
23年ぶりに林野行政に戻り、「一から勉強中で多くの現場の話を聞きたい」と先月林野庁長官に就任した直後の井出道雄氏。多くの担当部署を経験し現場主義をモットーとする新長官。「理論だけではない現場主義を貫く」手法で林野行政に新風を吹き込む。
東京大学法学部卒。昭和50年農林省入省後、内閣法制局参事官、大臣官房予算課長、食糧庁総務部長、経営局長、大臣官房長などを歴任。「多くの職務を経験したことで視野が広がった。現場にたびたび足を運び、林野行政を国民への理解、醸成につとめたい」と就任の抱負。
大きな課題として地方再生を最初に挙げる。「その鍵は山村対策だと思う。山村振興に力を入れる地方再生こそ林野庁が頑張らなければならない」と井出氏。特に今年は洞爺湖サミットや森林吸収源対策など環境面での後押しがある。ただ、その状況に甘んじてはいない。「農業などに比べ森林林業は、環境面において国民に支持されつつあると言われるが、地方レベルにおいてはまだ乗り切れていない」と指摘する。
井出氏が説く地方振興の原点は学生時代にある。「当時から旅行目的で田舎をまわり交流することで地方の重要性を肌で感じていた」という。現在も、多忙の合間を縫って地方の農家や知人を訪ね独自のネットワーク構築が休日の過ごし方だ。ある山村では“東京在住どぶろく大使”を任命されるなど濃密な山村交流を信条としている。現場に足を運び、今何が求められているか、問われているかを自分の目で確かめる手法は極めてオーソドックスだ。その部分を自ら“永遠のアマチュア事務官”と揶揄(やゆ)する。
林野行政においては、間伐促進新法や緑資源機構関連の重要法案を控える時期を迎えており「行政として大切な時期だが、内向きな仕事ではなく思い切ってやっていく」と前向きな姿勢を見せる。「誠実で前向きに明るく、ひとの陽だまりになる」をモットーに“永遠のアマチュア事務官”が現場主義の辣(らつ)腕をふるう。