2008年1月15日
シリーズ「この人」都市(まち)に緑をふやす議員 根本二郎新宿区議会議員
「都会に住む人こそ山に関心を持って」の友人のひと言から始まった「新宿どんぐりの森」づくり
都市のひとと山のひとが協力してどんぐりの森づくりは続けられている
多摩の山で続けられている「新宿どんぐりの森づくり」右が根本議員。
東京・新宿区の根本二郎区議会議員は「都市(まち)に緑をふやす議員」である。知人に紹介されて初めてお会いして話を聞いていてそう思った。新宿区内の緑化や環境保護など"緑の活動"に長年関わってきた根本議員をさらに緑の活動へと深く関わらせるきっかけになったのは花粉症の原因について友人から言われたひと言だった。「花粉症になり苦しんでいる人が増えているのは杉の木が悪いからだ」と言った根本議員に対して、八王子で炭焼き職人を営んでいる旧友から「花粉症がひどいのは、多摩の山が病んでいるからだ。
都心に住む人こそ、多摩の山に関心を持たなければならない。日々吸っている空気を送ってもらっているのだから」と言われ、根本議員はそれまでの固定観念を大きく揺り動かされた。
日本の山は戦後、建築材の需要を見込んで杉の苗木が大量に植えられ、それが育ってきて使える時期を迎えているが、価格の安い輸入材が大量に入っているため売れる機会を失い人の手入れもおぼつかなくなっているため荒廃の一途をたどっている。
花粉は間引きに当たる間伐や枝打ちなど手入れをされず健全に育つことができない"杉の切実な悲鳴"であることを実際に足を運んで山を自分の目で見て根本議員は知ることになる。
即、行動と考えた根本議員は地元の人々と協力して八王子や檜原村の山で杉が伐採された跡地や、山火事で不通になった登山道沿道などに動物のエサになる実をつけ、涵養機能にも優れたドングリを植林する「新宿どんぐりの森」づくり運動を始める。苗木代は1本1本に協力者の名前のプレートをつけることを条件に1本1000円で寄付を募る根本議員のアイデアが評判を呼び、賛同してくれた仲間とこれまでに約600本の苗木を植林してきた。
本人は現在「自分は『どんぐり銀行新宿支店長』だと満面の笑顔を浮かべる。区役所のある新宿・歌舞伎町周辺でも「新宿花いっぱい運動」を呼びかけ、一昨年11月にはモア4番街のオープンカフェなどでハンギングバスケットや花壇、フラワーポットを飾っていく運動を実施した。多くの人々が集う通り沿いに花を飾り、目をとめてもらうことでることで人の心がやすらぎ、街の美化や防犯にもつなげていければとの願いもあるそうだ。
区役所の屋上緑化や玄関前のハンギングバスケットも見せていただいた。玄関前のガードレールが東京・多摩産の杉でできているのにはびっくりした。
順調そうには見えるが、もちろんすべてがうまくいくわけではない。課題についてうかがうと、「花を飾るのはいいけど、水やりや管理の責任を持たされるのは困る」という地域反応なのだという。公への貢献・奉仕の精神がかなり薄れてしまっていることに残念な気持ちになるが、これが商売のためにその地を訪れ生活との結びつきの薄い都会の商業地の実態なのだ。表面を花で飾ってもそこで生活する人、関わる人の心の中に花が咲いていないと、手入れされずに花が枯れてしまうように運動も長続きすることはできない。
「花が咲いていなのなら、それを咲かせる」
それも根本議員が求められている役割なのだろう。
根本議員にはもうひとつの顔がある。それは焼鳥屋「結」の主人という顔だ。
多忙なのでお店に顔を出せるのは月曜日だけのようだが、年が明けたら日をみてうかがい次回はカウンター越しに酒を酌み交わしながらいろんな話をまた聞きたいと思う。