現代の洋室は昔の和室そのもの――。昨年、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」が好評だった。幕末史の奇跡と呼ばれた風雲児・坂本龍馬の生涯を、幕末屈指の経済人・岩崎弥太郎の視線から描いた青春群像劇だが、ことのほか巧みに演出されていたのが庶民の生活様式だった。特に弥太郎の生家(被支配階級の住まい)は、ムクの木材をふんだんに使った木造住宅だが、そのセットをよくみると、床は単層のフローリング、天井は現しの梁になっている。この視角だけに限定すれば、それはまさに、現代における自然素材志向の洋室のつくりそのものといえる。畳や障子、襖がなければ和室とはいえないとの定義は見当たらない。そもそも「数寄屋」は、自然素材を生かした「自分にとっての最高の空間」として捉えられていたはずだ。近年、和室ニーズが減少するなか、世界的には「和」ブームが熱を帯び、日本の衣食住などの文化が注目を集めている。いまこそ、和室のあり方を見直すときだ。ここでは、天井と床にムクの木材を使用、環境と健康に配慮しつつも、日本的な和の精神を取り入れたモダンな部屋を「数寄屋な新和室」と規定し、真行草の概念を踏まえた和室文化の考察を試みたい。